◆◆ 謎に挑み続けた人たちのノーベル賞受賞 ◆◆
…日本人のノーベル賞受賞は大きな話題となりましたね?
片山●そうですね。政治の停滞や金融不安、食品偽装など暗い世相の中、パッと明るいニュースでした。物理学賞は南部陽一郎さん(国籍はアメリカ)、小林誠さん、益川敏英さんの3人で、化学賞が下村脩さん。一つの賞の受賞枠3人を日本人が独占したのは初めてだそうです。物理学賞の3人は素粒子が専門。ミクロの世界の研究ですが宇宙の仕組みにも関係があり、物理学の基礎となる研究です。そして化学賞の下村さんはクラゲの一種から緑色に光る蛍光たんぱく質を発見し、医学などの研究分野に貢献しました。いずれも1960年代から70年代に発表した理論が何十年も経てノーベル賞に至ったという偉業です。本当に素晴らしいですね。
…様々な研究の土台となる基礎研究が実を結んだということですね。
片山●基礎研究はすぐに何かのためになるわけではありませんが将来、非常に重要になってくることが多いのです。下村さんも当初、自分で発見した蛍光たんぱく質が何の役に立つのか見当がつかなかったそうですが、その後、生きた体の中で特定のタンパク質だけを光らせる「標識」として実用化され、生命科学に大きな進展をもたらしました。彼らに共通しているのは30代、40代の若い時期に大きな発見をしているということ。そのベースはもっと前の少年時代にあって、小さい頃から自然や生命の不思議にとりつかれ、謎を追求し続けたということなんですね。ですから今、小学生や中学生のお子さんもぜひ、いろんなことに興味をもち、関心をもってチャレンジしてほしいと思います。地球の進歩につながる大発見も、目の前にある小さな謎から始まるかもしれないからです。
◆◆日本の対GDP比教育予算は先進国中最低◆◆
…子どもたちに十分な教育環境を整えることも大事ですね?
片山●そうなんです。日本の場合、公財政教育支出の対GDP比が3.4%。ノーベル賞発祥のスウェーデンをはじめとした北欧諸国は6%〜7%ですから、先進国の中でも非常に低い数値といえます。例えば北欧諸国は大学まで学費がかかりませんし、イギリスの美術館や博物館は入場料がタダですね。小さい頃から積極的に学問を習得し、気軽に芸術文化に触れる環境が整っている…。これだけでも随分違うと思いますよ。日本では近年、ようやく「ゆとり教育」を反省し、学習の質・量を増やしていく方針となりましたが、小・中・高・大学を通じてもっと手厚い教育環境の整備が必要だと思います。現に世界レベルで見ると日本人の学力は下がってきています。2006年、OECD(経済協力開発機構)が世界57ヵ国で実施した調査でも、日本の15歳の学力は「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」ともに3年前より低下しています。「数学的リテラシーは」6年前の調査で世界1位だったのが今回10位に転落、「科学的リテラシー」も6年前と3年前は世界2位だったのが、今回は6位まで下がっています。
・・・富山県の教育レベルは?
片山●昨年、全国の小6と中3を対象に実施した全国学力調査の結果が今年8月、正式に発表されました。全体としては「基礎知識についてはおおむね理解しているものの、実生活での活用力には課題がある」という結果が出ています。富山県の成績は、小学校、中学校ともに全科目で平均値を上回っており、小学生で全国4位。中学生で全国3位。教育レベルの高さは実証されています。この背景としては、まず富山県の勤勉でまじめな県民性があるでしょう。学校でしっかり勉強して、自宅に帰ったら親や祖父母が宿題をみてくれるという環境が整っていますね。都会に比べると学校と地域、教師と保護者の連携もできており、きめ細かい教育が行き届いていると思います。ただ、この結果を平均値だけでで捉えていていいのかという問題があります。この学力調査の順位は公立学校のみの結果ですから、レベルの高い私立校に通う子どもたちの成績が反映されていません。近い将来に訪れる大学受験は全国区の競争です。私立校でレベルの高い教育を受けている子どもたちと同じ土俵で戦わなければならないのですから、今回の平均値だけを見て手放しに喜んでいいものではないと思います。
◆◆教育は一律ではだめ。それぞれの建学精神を打ち出すべき◆◆
・・・これからの子どもたちに必要なのは?
片山●日本は昔から資源のない国です。そんな日本が世界に誇れるのは人材しかないのに、近年、その人材の資質が危ぶまれているんです。今、こんなに資源価格、物価が上昇している中で、日本が世界で勝負するには、人が活躍するしかないんです。人材が必要不可欠。そのためにも次代を担う子どもたちが一生懸命、学問に精を出さないといけないんです。このままアジアの各国に押され、負けていては、国際社会で生き残れませんよ。
・・・片山学園高校が今年開校し、中高一貫教育が本格スタートしました。展望は?
片山●富山県はもともと教育への関心が高い県です。レベルも低くはない。いい教育をすればまだまだ伸びる素地はあると思います。ただ富山県ではこれまで「公」が強く、常に「公」が優先されてきました。そんな中で、塾が中高一貫校をつくり、独自のカリキュラムの教育をスタートさせたんです。開校当初は不安でしたが、県内外からたくさんの生徒が集まってくれ、中高一貫の私学に対する理解が意外に高いことに驚き、感動しました。
私自身、教育は一律ではだめだと思っています。金太郎飴では面白くない。私立学校はもちろん、公立学校もその学校ならではの「建学精神」を打ち出すべきだと思います。私は塾がつくった私学の強みを生かし、吉田松陰の「松下村塾」や、緒方洪庵の「適塾」のように、独自性のある教育を推進し、「見識」「学問」「人間性」をバランスよく備えた世界のリーダーを輩出していきたいと思っています。
◆◆受験とは、やり遂げることの大切さを学ぶ場◆◆
…では、勉強や受験の意義は何なのでしょうか?
片山●受験に合格するということは、日頃の積み重ねの集大成です。また合格は一人でできるものでなく、学校や家族、塾、友人の存在があってこそ。そうした総合力が合格につながるのです。
特に家族のバックアップは大事。お母さんの励ましの言葉は本当に大事だと思います。どんな時も、たとえ成績が伸び悩んでいるときでも、常に心から我が子を思って励ましてあげること、褒めてあげることが大切です。富山県民は一般的に褒めるのが下手な県民といわれますが、他人の良いところを見つけ、それをさっと言葉にできる人って魅力的ですし、人から好かれますよね。だから1つでも2つでも、お子さんのいいところを褒めて、励ましてあげて欲しいと思います。お母さんの一言が、お子さんをどれだけ元気にするか・・・。そういう温かいコミュニケーションが受験には必要なんです。
・・・受験は1日にして成らず、ということですね?
片山●そうです。つまり受験や勉強は、結果でなく、そこに至るまでの過程が大事なのです。厳しい状況にどう対処し、どう克服するか。いろんなことを我慢して、投げ出さずに最後までやり遂げることに意義があるのです。これは社会に出ても同じことが言えると思います。一般的に、高学歴の人に社会の第一線で活躍している人が多いのは、やはり厳しい状況を切り抜け、目標を達成してきた経験があるからだと思いますよ。
人生には必ずいくつかの関門があります。受験はその一つ。大きな壁を乗り越えるために精一杯の努力をして励む。それは将来を左右するといっても過言ではないと思います。そして頑張った体験は一つの財産となってその後の人生に生かされます。将来、後輩ができた時、子どもをもった時、その経験を話して、勇気づけてあげることができるはずです。
◆◆短期集中型の勉強法を習得。そして勝ちに行く!◆◆
・・・最後に、冬休みの過ごし方についてアドバイスをいただけますか?
片山●冬休みは2週間しかありません。しかも年末年始でクリスマスやお正月があって自分で決めた学習時間がとりにくい時期。だから自己を制し、様々な誘惑をはねのけて頑張る強さが必要になってきます。受験対策としては、2週間という短い休みにこそ「短期集中型」の勉強法を身につけることが大事。これまでやってきたことをチェックし、弱点を克服し、自信につなげるための中身の濃い勉強が必要です。
富山育英センターでは、31年におよぶ受験指導のノウハウを生かし、お子さんの目標設定や学習計画の相談にのり、一人ひとりに合った学習指導を実践しています。残された時間は全員同じ。うまく使えるかどうかは本人次第です。ぜひ、充実した2週間にしてください。ここでつけた自信は春の笑顔にきっとつながりますよ!
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