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育英センター 田中の教育ブログ「勉強のごほうびは与えるべきか」その2

富山本部校別館(中学部)

前回の続きです。

 

HLAD(ハイレベル・アドバンス)という選抜クラスでのアンケート実施、かつ選抜クラス全員の調査ではないのですが…

 

勉強のごほうびは、3分の2がもらったことがある

テスト結果等による趣味等の制限は、3分の1がされたことがある

 

79名のアンケートではこのような結果でした。

 

「勉強のごほうび」の内訳として、生徒が答えたものの中で、私が特に心に残ったのは、

「家族での行動(食事や旅行)」

「ほめ言葉」

の二つです。

 

家族で共に行動すること、また親からの「頑張ったね」の一言が、子供にとってごほうびと感じられることが素晴らしいですね。

思春期まっただ中の中学生にとっては、親と共に行動することを敬遠したり、親が学習や成績に干渉してくるのを極度に嫌がったりすることが増えてきます。

 

しかし、「家族との思い出」「言葉のごほうび」に対し、表面上はそっけない態度をとるも、実は心の中で嬉しく感じている子も多いのでしょう。

 

 

それとは逆に、テストの点数や結果、成績に対し、何かしらの行動制限をされたことのある生徒の割合は、3分の1と少数派でした。

これにつきましては、今回のアンケート対象が選抜クラスということで、自分で自分を律することができる子が多い、という側面もあるでしょう。

 

 

さて、同アンケートでは、「勉強のやる気が出るのは、どのような時ですか」という自由記述の欄を設けていました。

 

面白かったのが、「テスト結果が悪くて、親からスマホを取り上げられたことがある」と答えた生徒の下記の回答です。

Q 勉強のやる気が出るのは、どのような時ですか

A スマホが使えなくなった時

 

……自分でスマホ依存症の自覚がある子ですね。

保護者の方は大変ですが、自分で自分を律することができるその日まで、ぜひたびたびスマホを取り上げてやってください。

 

なお、自由記述の勉強のやる気が出る時、についてですが、一番多かった答えは

「友達が自分よりワークが進んでいるとき」

「友達と勉強するとき」

「対戦相手がいるとき」

「仲間が勉強を頑張っているとき」

「友達に褒められたとき」

「好きではない子に成績を抜かれたとき」

など、友達・ライバルに関係するものでした。

 

続いて多かったのが

「親の外出時」

「親からがんばれと言われたとき」

「勉強に関する話を親からされないとき」

「弟に馬鹿にされたとき」

「家族に言われてやるのではなくて、自分で勉強しようと思って勉強したとき」

「親が静かにしているとき」

親が勉強しているとき」 ※これは是非見習いたいですね…

など、家族に関係するものでした。

 

なお、他とのかかわり合いに関係なく、

「自分の知らないことを知ったとき」

「新しく買った参考書がニヤニヤするくらい面白いとき」

「難しい問題が解けたとき」

など、勉強自体の魅力について書いている子も10名程度いましたね。

 

さて、最近読んだ下記の本に、勉強に対するごほうび、罰に関連する興味深い記事がまとまっていました。

斉藤徹 著「だから僕たちは、組織を変えていける」

 

この書籍の「人のやる気はどこから生まれるのか」という章に、2007年のハーバード大の経済学者ローランド・フライヤーの実験について記してあります。

3万6千人の子供に総額10億円ものお金を支払い、「お金の力がどのくらい成績を引き上げるか」を調べるという壮大な実験です。

 

実験結果については、「成績が上がった子供」にお金を配る政策をとったニューヨークなど4つの州は失敗したそうです。

唯一、「指定した課題(ワーク)を達成した子供」に対しお金を支払ったダラス州のみ成績を上げることに成功したそうです。

例として、読書した子供に一冊当たり2ドルを与え読解力の向上に寄与した、などです。

ただし、この効果は長続きせず、一年経つと効果は半減、さらにお金がもらえないとワークへの興味がなくなる、という負の効果も実験から明らかになりました。

 

二回にわたる今回の記事の結論としては、

勉強の報酬はあくまでもきっかけであり、自発的に勉強するまでは、親子の相互理解、継続的なコミュニケーションが求められる

ということになるのでしょうか。

 

また、同書籍では、イスラエル託児所の罰金実験(ウリ・ニーズィーとアルド・ルスティキーニによる)についても触れられています。

託児所のお迎えに対し、親が遅刻すると罰金300円を課すことにしたこの実験において、なんと遅刻する人の割合は当初の2倍になった、というものです。

「罰金さえ払えば遅刻しても良い」、という考えが根付いてしまったのですね。

さらに、その後罰金の制度を無くしても、遅刻する人の割合は元に戻らなかったというのですから怖ろしいですね。

 

テスト結果が悪いと厳しく子供を叱責し、それでも子供の成績が上向かず、さらに叱責を続けてしまえば、子供は「叱られることに耐えさえすればよい」という考えになるかもしれません。

 

こうなってしまっては別の手段を考えるしかありません。

 

育英センターでは、保護者会を頻繁に行っていますが、我々はぜひセカンドオピニオンとして皆様のお力になりたいと思います。

親から言うと反発されることでも、我々から言うと子供がすんなり受け入れる、ということも多々ありますからね。

 

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