育英センター 田中の教育ブログ「英語の教科書に取り残された中学生 その2」
富山本部校別館(中学部)
前回の記事の続きです。
前回は、現在の中学生が使用している教科書について述べました。
過去の教科書とは、難易度が大きく異なっていることがお分かり頂けたと思います。
これは田中の私見ですが、塾の生徒の状況から察するに、中学校の現場で英語の教科書内容についていけている生徒は、50%に満たないのではないかと推測されます。
つまり、現在多数の中学生が、英語の教科書に取り残されていると考えているのです。
中学生の英語学習に大きな障害となっているのが「小学校英語教育と中学校英語教育の段差」です。
※小5、小6を教科担任が受け持つ義務教育学校であれば、段差は少なくできるのでしょうが、それほど多くは有りませんね。
2020年度より、小学5年生、6年生の英語が正式な「教科」となり、単語および連語を600~700語程度習得することが目標とされました。
ここである疑問が生じます。「習得」とは、どこまでのレベルなのでしょう?
スペルミスをせずに、600~700の単語を書けなければいけない、ということでは当然ありません。
以下の文部科学省の小学校学習指導要領(H29改定)の解説、「書くこと」をご覧ください。
※文部科学省HPより
上記をもっと分かりやすくかみ砕くと、下記のようになります。
大文字、小文字を活字体で書くことができるようにする
→これまで中1の1学期で行ってきたアルファベットの授業は、基本的に行いません。
語順を意識しながら音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができるようにする。
→小学英語では、話す、聞くに注力し、英語の表現や単語に音で慣れさせます。
ただし、それらを「書くこと」ができるようにするのではなく、「書き写すこと」ができるのが目標です。
小学校で、無理に英単語を暗記させ、スペルミス無く書かせることを強制すれば、大量の「英語嫌い」が発生してしまいますね。
よって、4技能の中でもコミュニケーション(聞く力、話す力)に重きを置いた、楽しい授業を小学校の先生方は心掛けていらっしゃいます。
「書く力」については、中学校3年間で身につけていく訳ですが、新型コロナウイルスの影響もあり大きな誤算が生じています。
その誤算とは…
①小学校で、英単語や英文に「音声で十分に慣れ親しむ」ことができなかった。
・新型コロナウイルスの蔓延により、自宅待機やリモートでの授業が増加
・大きな声をだし、積極的にクラスメイトと交流することへの自粛
本来なら、小学校で十分に音声で英語に慣れ親しんでいるはずでした。
音を聞けば、その単語に使われているアルファベットが想像できるくらいに…
②中学校の各種考査や高校入試において「スピーキングテスト」の導入が遅れた。
4技能がバランスよく試験で問われることで、従来大きなウェイトを占めていた「書くこと」の比重が低下するはずでしたが…
・公立入試のスピーキングテスト導入延期、「書く力」の比重が変わらない公立入試多数
・定期テストは従来通り「書く力」重視の中学多数
…①②から分かるように、これでは各種試験で英語の平均点が低下するのも当たり前ですね。
小学校で十分音声に親しみ、各種試験では「書く力」の比重が低下する前提で作られた中学英語の教科書ですから。
それでも、「話す力」への転換に向け、確実に世の中は動き出しています。
例えば…
東京都がようやく、今月11月27日(日)に、都立高校受験者へのスピーキングテストを実施します。
東京都のスピーキングテストは20点満点、AからFの6段階評価(20点〜0点)、すなわち4点刻みで調査書に記載されます。
そして入試の得点と内申点(調査書点)、スピーキングテストの結果の総合得点で合否が決まります。
※しかし、実施が決まった後でも、導入への反対意見が数多く出ているのが現状です。
※12/5 追記 実施後も、いろいろな問題点が浮き彫りになっています。
例としては、出題された may have 過去分詞 は学習指導要領の範囲外ではないか?などです。
またいつか別記事でまとめたいですね。
定期テストにおいて、英作文の単語のスペルミス、文法ミスがあっても、伝えたいことが伝われば〇にする、という所が出ています。
これは大きな転換ですね。
しかし、肝心の高校入試が従来の採点方法と変わらなければ、逆効果にもなりかねません。
長くなりましたので次回に続きます。
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