3月10日
富山本部校高校部
赤門を抜けしばらく歩いていくと、左手に奥まで大きくひらけた通りが見えて来る。
そこにはすでに多くの人々がひしめき合うように、受験番号が掲示された大きなボードの列を見上げている。群衆を挟んだボードの反対側の校舎前には報道陣のカメラの放列。
東大合格発表当日正午あたりの光景である。
私は塾生東大受験者の合否を確認すべく、群衆にもまれながら左から右へとボードの前を四苦八苦移動している。大きな歓声に振り替えると、アメフト部らしき屈強な男たちに胴上げされ高く宙を舞う若者。よく見るとうちの塾生だ。
「おっ!あいつ合格したんだ!」奇遇にも妙な形で塾生一名の合格を知る。
かつての東大の合否確認は、こんなふうにわざわざ現地まで赴くというスタイルだった。
或る年にはこんなこともあった。
合否確認を終え群衆から少し離れた場所で、現地まで発表を見に出向いていた塾生たち(※現地まで自らの足で合否を確認に出向く生徒は大概合格していた)と「よかったね」なんて話していると、その場を一度離れた塾生の一人が、しばらくしてとある女性と連れ立って戻ってきた。
「東京では僕の母親代わりをしてくれている人です」
と紹介されたその人を見ると、富山県(滑川市)出身の女優、室井滋さんだった。
「皆さん、よかったですねぇ。おめでとうございます」
と笑顔を投げかけるその姿は、つとめて地味を装い、普通のおばさんに身をやつしてはいたが、テレビの画面でよく見かける、あの「室井滋」だった。
今や自室にいながらパソコンの画面から、瞬時に自分の運命さえ知ることができる、まことに便利な世の中になった。歓喜や悲嘆を伴う人のエネルギーをそばで直に感じたり、その場にいてこそ真に出会えるものがあると実感したりすることが、かけがえのないものだと思うのは、私がただ単に年を取ったからだろうか。
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