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化学は欲張ってはいけない3

富山本部校高校部

このシリーズは今回までとしましょう。

高校によっては有機化学に入ったようですね。この分野は出題率が高く,非常に大切な分野です。最低でも全体の1/3,場合によっては半分以上も有機化学が占めます。

実は有機化学の取り扱いは,高校と大学では力点が全く異なるのが面白いです。
高校化学では,有機化学は「官能基の化学」として扱われます。分子の中のつながった部分がその分子の化学的性質を決めるとき,それを官能基とよびます。この官能基を,異性体が生じる組み合わせである,「アルコールとエーテル」,「アルデヒドとケトン」,「カルボン酸とエステル」の順で学びます。その後,芳香族化合物,高分子化合物を題材に,その他の官能基を絡めて学習を進めていきます。
一方,大学化学では,初級(1回生くらいでしょうか…)なら高校と同じ場合もありますが,専門課程では「有機電子論」を中心に学習します。官能基というより,反応のパターンが同一のものをまとめて理解する方式です。その際,物質中の電子の振舞いを考えることで,反応が起こる理由を考えつつ,各段階に分割して分析するのが有機電子論となります。

では,高校生の内から有機電子論など,大学の有機化学まで学んだ方が良いのでしょうか。私は,学んだ方が良いと考えています。ただし,旧帝大レベルや私大医学部の受験を考えていて,しかも,本格的すぎないレベルのみの学習にに限定できる自信があるならです。
「必要な範囲を見極め,過剰な学習は避ける。絶対,『欲張るな!』」ということです。

大学入試での化学の出題は,教科書レベルをつねに超えています。私が富山本部校高校部に以前勤めていた20数年前に,ある生徒が志望校の過去問をもって質問に来ました。構造決定の問題でしたが,高校範囲の中ではどうやっても解けません。試しに,大学範囲の「エノール体からケト体への異性化」を適用してみるとするっと解けました。問題文中にはそんな説明なしで,出題として大丈夫なのだろうかと思いました。その後も,東大で立体配座に関する問題など高校範囲外の出題が見られましたが,今では教科書の「発展」欄に記載されるようになりました。このような現状を考えると,多少なりとも背景知識を持っていた方が良いのではないかと思えます。

私自身は物理学科物性実験学出身なので,かなり化学寄りの分野です。それでも,有機化学は大学時代は基礎有機化学を受講しただけで,ほとんど勉強していません。高校生に教えるようになって,慌てて勉強し直した次第です。受験生に対するお薦めの参考書は,①有名な新研究,②有名な駿台の原点からの化学「有機化学」,③大学初級教科書「工学のための有機化学[新訂版]」,④大学初級教科書「絶対わかる有機化学,絶対わかる有機反応の実際」などでしょうか。

繰り返します。趣味としての有機化学は非常に楽しいものですが,あくまでも趣味です。受験という点からいうと,よほど特殊な志望校でなければ,高校化学に限定して学習しても十分合格できます。無理しない方がいいです。

「必要な範囲を見極め,過剰な学習は避ける。絶対,『欲張るな!』」

 

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