「虫」は嫌われる
富山本部校高校部
変な「虫」がつかないようにと大切に育ててきた娘が、今お付き合いしている人をうちに連れて来るという。娘から彼氏の話を聞くにつけ、「虫」の好かない男であろうことはなんとなく予感された。こういうのを「虫」の知らせというのだろうか、案の定、やって来た男は、何の愛想もない根暗な感じの男だった。少し言葉を交わしただけで「虫」唾が走る思いがした。隣で黙って話を聞いていた妻も、苦「虫」を噛み潰したような顔をしていた。
蓼食う「虫」も好き好きというが、「どうしてうちの娘がこんな男と?」と考えれば考えるほど、腹の「虫」がおさまらないような気がした。こんな「虫」の居所が悪い時に、「娘さんと結婚を前提に…」なんて切り出して来ようものなら、飛んで火にいる夏の「虫」とばかりに男を打ち据え、「虫」の息になるまでコテンパンにしてやろうか、とさえ考えてしまう自分がいる。そんな時、今夏初登場の蠅が一匹、私の視界を悠然と飛び回っていた。
初夏。あらゆる「虫」が大騒ぎを始める時節。とかく「虫」は嫌われる。でも、人々が「虫」送りの祭りに精を出す中、夜の水辺を飛び交う螢の光は、小さいながらも命の輝きとはかなさを同時に教えてくれる。この時ばかりは「虫」も捨てたもんじゃないね、と思ってしまう。
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