なごり雪
富山本部校高校部
顔をのぞかせた春の日差しに誘われて、
庭の木々の雪囲いを取り払ったばかりだというのに、水曜日にはまた雪が降り出した。
これがなごり雪であってほしいと願う。
今 春が来て 君はきれいになった 去年よりずっと きれいになった
そういえばこの時期、ついこの間まで高校生だった女子が、
髪を茶系に染め、時に耳にピアスをつけ、少しおしゃれな姿で
大学入学前のあいさつに、顔を見せに来てくれる。
きちんと制服を着こんで、黒髪を後ろでぎゅっと縛り、努めて地味ななりを装って、
受験勉強に励んでいたあの娘（こ）が！？と、ちょっとびっくりすることもある。
みんなほんとは早く大人になりたかったんだね、と思う。
時が行けば 幼い君も 大人になると 気づかないまま
今 春が来て 君はきれいになった 去年よりずっと きれいになった
旅立ちの時。
庭には芝桜が花開き始め、雪が降る前に植え付けたチューリップが顔を出す。
僕はこのチューリップが花開く時を待ちわびて、そのうち色とりどりの花に目を細め、
次の季節を越え、そしてまた来春には、舞い落ちる名残りの雪を見上げながら、
新しい旅立ちを同じ場所で、見送るだけである。
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