育英センター 田中の教育ブログ「読書嫌い」
滑川校
国語の授業で、生徒たちに「本を読もう」と必ず呼びかけます。
以前、中3の塾生900名近くがアンケートに協力してくれまして、読書と国語の得点力との相関について興味深いデータが取れました。8年前のデータですが、今同じアンケートをとっても、さほど大きな差異は出ないのではないかと思います。
※高岡本部校太田先生、アンケート企画と考察ありがとうございました。
棒グラフが読書の習慣に対するアンケート項目のa~eに対応します。
おそらく、読書の習慣がある、と言えるのはギリギリbと答えた生徒まで、すなわち月に1冊は読んでいる、といった生徒までではないでしょうか。
ただし、それも相当怪しく、読書の時間などを設けている学校が多い中、そこで1冊をパラパラと読んだ、というものも含まれている可能性がありますね。中3で読書の習慣がある生徒は多くても30%前後ではないかと私は推測します。
aと答えた生徒、すなわち週当たり本を1冊は読む、という生徒は確実に、生活時間の中に読書が入り込んでいますね。
カバンの中には常に読みかけの本が入っており、スキマ時間を見つけては取り出し、読み進めているような生徒たちです。
そして、オレンジの折れ線グラフは、育英模試における国語の偏差値が60以上の生徒の割合を示します。
aと答えた生徒の偏差値60以上の割合は、平均よりも6ポイント前後高い、という結果が出ています。
また、このアンケートより前に、第1回~最終回模試、計7回の育英模試の国語の平均点が35点を超える生徒に読書の習慣があるかを個人的に聞き取り調査したところ、70%以上が「ある」と回答しました。
ただでさえ点数の安定しない国語において、7回の平均点が35点を超えるなど、相当な国語力の持ち主だと言えます。
しかし、中学生の間は点数が取れていた生徒も読書の習慣がなければ、高校生になって(場合によっては大学生、社会人になって)大半が苦労することになります。
※なお私は高校に入学してすぐ、クラスメイトから『ダンテの神曲読んだことある?』と聞かれ、歌謡曲かなにかかと思い『それ何て曲?』と返して顔から火が出る思いをしました。
読書を始めるきっかけは人それぞれです。
幼少期の読み聞かせから、歯磨きやパジャマの着替えと同じように、ごく自然に読書の習慣がついているのが理想ですが…
親も忙しく、勤務形態によっては子供と生活時間がずれる場合もあり、なかなか読み聞かせの時間も取れない、とお悩みの方も多いと思います。
そういう方は、少なくとも家庭内で活字に触れられる環境づくりを意識するのが良いでしょう。
スポーツでも、芸術でも、子供の趣味に関するものでも構いません。
本を読む習慣がない子に対しては、まずはかっちりした本ではなく、雑誌や新聞などから始めてみてはいかがでしょうか。
読書嫌いからすれば、1冊の本は、ニンジンをまるごと1本与えられたような印象を持つかもしれませんし
読書の時間等で本を読むことを強制されれば、食欲もないのに無理やり食事をとらされる感じになるかもしれません。
自分の興味がわいた内容、大好きな内容が掲載された雑誌や新聞なら、すすんで読みたくなるでしょう。
同じことであっても、やらされてするのと、すすんでやるのには大きな差がありますね。
スポーツ一辺倒の子に対しては、20年前からNumberを生徒に私はお勧めしています。
今週号は2冊購入し、一冊を滑川校に置いていますので、興味のある塾生はぜひお読みください。
私は、国語の授業で論説文や小説を取り上げる際、中学生に対しても「読み聞かせ」を意識しています。
論説文においては、難解な言葉が使ってあったとしても、その内容は皆の想像力で強引に身近に引き寄せることができます。
小説文に対しては、その場面で自分の立場ならどう思う?という問いかけをし、意見をシェアすれば「まんなかあたり」がぼやっとですが見えてきます。
生徒のいろいろな想像力に触れることができ、またそれをみなでシェアできる、国語を教えるものとしての醍醐味ですね。そして、一人でも多くの生徒が「読書嫌い」を克服できることを願っています。