デポーネント
富山本部校高校部
最近さらに語源を調べることにハマっています。
語源を調べていくうちに、デポーネント動詞というラテン語の文法用語に出会いました。能動態の形を持たず、受動態の形を用いて「~する」という能動の意味を表す動詞を指します。
小難しい話ですが、英文法の世界でも能動態と受動態の区別が曖昧になっている表現がありますね。
This book sells well.
「この本はよく売れる」という意味ですが、本(This book)が何かを売る(sells)わけではありません。本は「売られる」側です。でも「売れる」と訳します。これは能動態を用いて受動の意味を表すので、能動受動態と呼びますね。
He devoted himself to teaching English.
「彼は英語を教えることに専念した」という意味ですが、”himself”「彼自身を」という目的語があるにも関わらず「専念した」という自動詞的に訳します。”-self”という再帰代名詞を目的語にすると、他動詞を自動詞のように訳せることがあるということは英文解釈でも必須の知識ですね。
She was surprised at the news.
「彼女はその知らせに驚いた」という意味ですが、他動詞”surprise”「~を驚かせる」を受動態で用いると「Sは驚く」という自動詞として解釈するのは中学生の時からおなじみですね。
このような能動・受動の意味がはっきりとしない文を、中動態と言ったりします。
話をデポーネント動詞に戻すと、ラテン語では「私は~される」という意味を表すときに”-or”の形をとります。例えば、
Ā Marcō amor. 「私はマルクスに愛される」というように。
これが何か英語に関係するのかというと、少しデポーネント動詞を挙げると、例えば
loquor 「私は語る」は”eloquent” 「雄弁な」の一部ですね。
indignor 「私は憤慨している」は、某ゲーム最強魔法のインディグネイション(indignation/憤怒)でおなじみですね。
…ではmercorという動詞はどういう意味か分かりますか。
英単語のmarket「市場」やmerchant「商人」の語源となっている語です。
mercorの不定法(動詞の原形)は”mercārī”です。
みんなご存じ「メルカリ」は「売る、取引する」という意味のデポーネント動詞だったんです。
Librum illum ab illā fēminā mercārī volō. というように普通に動詞として使います。
普段の生活の意外なところにラテン語が潜んでいることに気付いてテンション上がりますね。
ではでは。
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