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育英センター 田中の教育ブログ「令和7年度 富山県立高校入試を振り返る その1」

滑川校

久々の投稿となります。

 

4月27日(日)に富山国際会議場、小杉文化ホール・ラポールで開催いたしました春季高校入試説明会ですが、たくさんのご来場誠にありがとうございました。

 

改めて、私の方でも令和7年度の高校入試につきまして、数回に分けて振り返りたいと思います。

 

令和7年度の富山県立高校の入試は、いろいろな意味で大きなターニングポイントとなるものでした。

 

令和7年度 富山県立高校入試を振り返る 

「平均倍率が初めて1倍を切る」

 

県立高校の一般入試の平均倍率が0.99倍となり、記録が残る中では初めて1倍を切りました。

 

進学校と位置付けられる高校ですらも定員割れが出て、欠員を2次募集で充足することとなったのです。

 

 

こうなった背景と、次年度以降の展望について、すこし考察したいと思います。

 

 

振り返りますと、まず昨年度(令和6年度入試)から、富山県では学区制が廃止されました。

 

従来は、普通科について、隣接する学区の高校までしか受験が出来ませんでしたが、全県1区制へと変更されたわけです。

 

例を挙げますと、砺波地区在住の生徒は、以前は富山中部高校の普通科を受験できませんでした。富山学区は砺波学区と隣接していないためです。

 

よって、中部高校の探究科学科を受験しても、普通科へのスライド合格が効かなかったのですが、現在は可能となったのです。

 

 

学区制廃止後、富山県全域から富山中部高校を目指す動きが目立ってきています。

 

新川地区、高岡地区の中学のトップ層が富山中部高校探究科学科を受験するケースが多くありますね。

 

高岡学区の中学出身の富山中部高校の在籍生徒数は、高1が12名、高2で13名、高3も13名で、計38名と全体の5%ほどを占めています。

 

その5%には砺波在住、高岡在住の富大附属中の生徒は含まれていませんから、実際はもっと多いことになります。

 

そして明らかに増加しているのが、私が今勤務している新川学区からの受験です。

新川学区在住の富山中部高校の在籍生徒数は、高1が45名、高2が37名、高3が28名となっており、年々増加の一途をたどっています。

 

 

そして次年度からは高校定員の公私比率が撤廃されますので、県立高校の入試倍率に再び影響が出る可能性がありますね。

 

 

現在、高倍率が当たり前の県立高校・学科が出てきている反面、定員割れが常態化した県立高校・学科も出てきています。

 

その原因は1つだけではなく、これまで私のブログで記述してきた原因(N高やS高、R高をはじめとする通信制高校への進学者増、星稜高校など他県の私立高校への進学、入試日程の早い国立や私立に生徒を先に取られてしまう・・・など)が複雑に絡み合っていると思います。

 

※なお、星稜中学・星稜高校に在籍する富山県からの生徒数は、2024年の45名から、今年2025年は73名と大幅な増加となっているようですね。

金沢勤務時代はよく星稜中学・高校に訪問させていただきましたが、その頃より顕著に富山からの生徒が増えていて驚きました。

 

 

「志願変更制度の導入は?」

 

個人的意見にはなりますが、富山県においても県立高校の志願変更制度の導入が急務なのでは?と考えます。

 

志願変更制度とは、1回目の出願後、各高校の倍率を公表し、願書の出し直しが出来る制度です。

 

現在の富山県立高校の出願は、いわば「一発勝負」です。

 

倍率発表後、定員割れで安心する子、予想外の高倍率に動揺する子が毎年出ます。

 

一発勝負ゆえに、中学校の先生方も、進路指導が非常にやりにくいと思われます。

 

「志望校を下げたら」というアドバイスをしたときに、言われた通りに志望校を下げたら、ランクを下げた先がとんでもない高倍率だった。

 

そして当初の第一志望は定員割れで、出願していればほぼ確実に合格した。

 

こうなるとアドバイスをした側も困ってしまいますね。よって、奥歯にものが挟まったような進路指導にならざるを得ない。

 

 

倍率の高い県立高校では不合格の子が多く出ます。その後、定員割れの他の県立高校の2次募集には出願せず、私立高校に進路を決定する生徒も増えています。

「もうこれ以上、自身の進路決定を先延ばしにしたくない」という思いの生徒が多くなっているのでしょう。

 

もし志願変更制度があれば、輝かしい歴史、進学実績を誇る高校が定員割れするという事態を避けられる可能性も高まります。

 

 

現在、志願変更制度がないのは、全国で9都道府県のみとなっています。

ただし、上記9都道府県の中には、出願の参考のため、1月に受験生の志望調査を公表している県が3つ含まれますので、事実上の一発勝負の県はさらに少なくなります。

 

 

私、田中は石川県、福井県での勤務も経験していますが、公立高校において石川、福井ともに、実は志願変更をする生徒は多くありませんでした。

 

泉丘、桜丘、二水、藤島や高志といった進学校を受験する子たちは、高倍率を覚悟で受験しています。

 

おそらく富山県において志願変更を導入した場合、進学校の受験者数確保はある程度担保される反面、大きな定員割れが予見される県立高校は、志願変更後さらに受験者を減らす、といった影響が出る可能性が高くなると思っています。

 

すなわち、定員割れが常態化した県立高校が発生し、私立高校の受け皿としてそれらの県立高校がある、という状況が出来てくるのは避けられないと思います。

すでに石川、福井の一部の県立高校はそのような状況ですが、富山もそうなる可能性がある、ということです。

 

長くなりましたので、次回に続きます。

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