倫理の時間21 批判
富山本部校高校部
「批判」という言葉は、普通、
人の意見の誤りや欠点を指摘したり、否定したりすることを意味しています。
しかし、哲学においてはこのような一般的な使われ方だけではなく、
物事の本質を吟味するという意味で使われます。
例えば、カントの三大批判書である『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』では、
それぞれ「人は何を知りうるか」「人は何をなしうるか」「人は何を欲しうるか」を説いています*。
つまり、人間の本質は何か、理性とはどのようなものなのかということについて吟味した書ということです。
昨今、世間ではいろんな話題が絶えませんが、
他人をただ攻撃的に批判し、他人の意見を否定して自分の意見を主張するのではなく、
是非それを本質的な議論へと昇華してほしいと切に望んでいます。
*小川仁志『すっきりわかる!超訳「哲学用語」事典』(PHP文庫)より
