前回のブログの続きとなります。

富山県が今計画している1学年480人（12クラス）の大規模校ですが、そのモデルの1つとなるのが埼玉県立伊奈学園総合高等学校（通称イナガク）です。

７つの学系で構成され、生徒数は1学年800人（20クラス）の超大型県立高校です。

7つの学系について、それぞれ見ていきますと…

①情報経営…情報・経営・簿記・会計・流通・国際経済などを学びたい生徒が集う。将来は、経済・経営・商学系の大学や専門学校への進学、就職にも対応。

就職に強いだけでなく、中央大や青学大、明治大や高崎経済大など、有名大への進学者も毎年輩出しています。

同じく就職に強く、また金大や富大など地元国立大への合格者も毎年輩出する富山商業高校や高岡商業高校をイメージしました。

②理数…主に理科・数学を中心に学びたい生徒が集う。将来は理系の大学進学を目指す。

伊奈学の中では合格者の平均偏差値が最も高いとされ、生徒数も７つの学系の中で2番目に多い、とのこと。

学系ごとの大学合格実績は調べても分からなかったのですが、伊奈学全体で2025の大学合格実績が東大１、京大１、東北１…を考えると、御三家の自然科学探究よりも富山東の自然科学コースや、砺波・魚津の旧理数科のイメージが近いでしょうか。

③語学…英語は全員必修、そしてドイツ語・フランス語・中国語から学ぶ言語を一つ選択する。将来は、語学系の学部・学科への進学が多く、そこには難関私大も多く含まれる。

当然、ドイツ語、フランス語、中国語を初めて学ぶ生徒がほとんどですが、3年間の学習で大学受験で使えるレベルまでその語学力を引き上げることを目標としています。初級ではありますがロシア語・中国語・韓国語を第2外国語として選択できる伏木高校の国際交流科や、同じくロシア語・中国語（※現在韓国語が無くなりました）を1年次から学ぶ国立富山高専の国際ビジネス学科を想像させます。

④人文…国語や社会（地理歴史・公民）など人文科目を中心に学習する。文学・教育学・法律学・政治学・経済学・史学など、人文系のさまざまな分野への幅広い進路希望に対応でき、多くの生徒が主に人文学系の大学、短大へ進学する。

伊奈学の中では最も多い人数を抱える学系とのことです。高岡南高校の人文科学コース、いずみ高校総合学科の人文・社会系列などが近い感じですかね。富山県の県立高校の普通科では、文系・理系に分かれることはあっても、私立大学入試に特化したようなカリキュラムはなかなか組めません。伊奈学では、ある程度自由に時間割を組み立てられますので、国立大志望者はそれに必要な科目を履修することとなりますし、私立大入試に寄せた履修の仕方もあるでしょう。

⑤生活科学…被服・保育・食物・調理・福祉などの科目を中心に学習する。服飾・栄養・調理・保育・幼児教育や福祉関係の進学、就職に対応でき、多くの生徒が主に家政系の大学、短大、専門学校に進学する。

上記の①～⑤、情報経営～生活科学までが入学時に普通学系として入学し、１年生の時にどの学系に進むかを選択し、２年次から各学系に分かれます。履修する内容を考えますと、桜井高校の生活環境科、雄山高校の生活文化科、氷見高校の生活福祉科、いずみ高校総合学科の生活デザイン系列などが思い浮かびます。

残りの２つの学系、スポーツ科学、芸術については入学後ではなく、出願時に学系を選ぶことになります。

長くなりましたので、その２に続きます。