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育英センター 田中の教育ブログ「5年後、通知表が変わる」

滑川校

8/22(金)夏期高専特講を行いました。

富山駅前の育英センター富山本部校中学部にて、私は国語の授業をしてまいりました。

 

当日は初めて出会う生徒たちと会話を交わしましたが、やはり内申点が不安、という声がちらほら聞こえました。

高専志望の生徒は、自分の興味を持ったことには熱中し、時間を忘れてひたむきに取り組む子が多いように思います。

その反面、マイペースであり、興味が持てない教科に労力を割いてこなかったのか、内申にキズのある子も多いです。

 

9教科全て、先生の目を見て頷きながら授業を聞き、手を挙げて積極的に発言、質問する

こういった授業の受け方が自然にできればよいのですが・・・

性格的に自分に合わない、自身の主義・美学に合わない、という子もいるでしょう。

 

よって特講の授業では、内申があまり良くないならば、実力を示せばよい!と皆を鼓舞して参りました。

県立高校よりも内申点比率の低い国立高専では、実力での逆転合格が十分可能です。

しかし、通知表の評価は高いに越したことはありませんね。実力を示すうちに先生の評価も変わることを期待しての発言です。

 

というわけで本日は内申点についての記事となります。

 

学習指導要領の変更に伴い、2020年より観点別の学習評価の項目が見直され、従来の「関心・意欲・態度」の項目が、「主体的に学習に取り組む態度」となりました。

変更に至った大きな理由は、「関心・意欲・態度」を評価するにあたり、手を挙げる回数毎時間ノートを取っているかなど、形式的、表面的な項目が重視されている、という問題点が指摘されていたからです。

確かに、積極的に手を挙げなくても、関心・意欲が高い子はいるでしょう。そこには性格的な問題も絡みます。

ノートについてですが、関心や意欲が高いがゆえに、自身で学習を進めて熟知している内容であっても、先生へのアピールとしてノートをとる姿を見せることに価値を見出せない子もいるでしょうね。

 

要は、関心・意欲というよりも、「積極的な態度、まじめな態度」をとれる生徒が高く評価されがちであったことは否めませんでした。

 

さて、現行の「主体的に学習に取り組む態度とは具体的にはどのような態度なのでしょうか。

態度とつく時点で不安を覚える、という方もいらっしゃるかもしれません。

 

主体的に学習に取り組む態度の例

①粘り強さ

分からない問題があっても諦めない。先生に質問する、あるいは粘り強く考え続ける。

テストで間違えた問題や、授業で取り上げた内容について、見直し、振り返りを徹底する。

提出物を期限内に提出する。やっつけ仕事ではなく丁寧に。

 

②自己調整能力

振り返りシートの記述などで、自身の学習内容の理解度、自分の学習方法を改善・調整しようとする様子を示す。

間違えた問題をチェックし、その理由を考えて次に活かす姿勢を持つ。

授業内容を深く理解し、試行錯誤を行う。新たな学習内容、得た経験を将来の目標へとつなげる。

 

・・・さて、何が変わったのでしょうか。

1年ほど前の読売新聞オンラインの記事です。※なお古沢由紀子氏の教育に関する記事はどれも必見だと田中は思います。

生徒の「主体的な態度」をどう測る?学習評価の難しさ…中学校の教師は悩み、高校入試の内申書にも直結

 

上記記事でも紹介されている、昨年4月の文部科学省の有識者会議での京都大・西岡教授の「内申書を意識して生徒が発揮するのは、主体性ではなく従順さではないか」という言葉には特に考えさせられるものがあります。

生徒の「主体的な態度」を評価する際、先生の主観は多かれ少なかれ入るでしょうし、同じ生徒であっても先生の見方にばらつきは出るでしょう。

先生に質問する、宿題をきっちり出す、など「積極的な態度、まじめな態度」を意識してとれる生徒が、やはりどの教科も高い評価を得やすいのです。

 

受験に大きく影響する内申点を得たいがために、先生から高評価を得るための行動を意識的に取る・・・・・・高専志望者に多い、理数に特化したような生徒は特に苦手な子が多いのではないでしょうか。

先生方からしても、学期末の3者面談で保護者から「なぜこの教科の評価は4から3に下がったのですか?」などと問われた時、「主体性の発揮」という分かりづらい指標では説明しづらいでしょう。相手の理解が得られるのか、もしかしたら反感を買うのではないか、という怖れがある先生もいらっしゃると思います。

「提出物の期日を守れなかった回数が2回ありますね」←こういった分かりやすい指標ならば、相手も即納得ですしね。

 

「関心・意欲・態度」→「主体的に学習に取り組む態度」へと評価項目が変更になっても、結局大きくは変わっていないのです。

 

これらのことを背景に、文部科学省は2030年から「主体的に学習に取り組む態度」を成績の対象から外す方針を示しました。

文科省の今回の見直し案では、評価観点を「知識・技能」と「思考・判断・表現」の2つに再編し、「主体性」については評定に直接反映せず、特に顕著な場合に限って「〇」を記述するという柔軟な扱いに変わります。

 

なお、不登校の生徒が全国的に増加していることも、この変更の要因の1つです。

課題を提出できない生徒、発言が少ない生徒にとって現行の評価体制は圧倒的に不利ですね。

特に、学校に行けていない生徒に「主体的に学習に取り組む態度」を求めるのは無理があります。

 

将来、保健室登校している生徒、体調を見てときどき登校している生徒たちにとって、この変更は朗報と言えますが・・・

現在、不登校で苦しんでいる生徒たちのためにも、自治体単位で前倒しして、入試制度に救済策を取り入れることが求められています。

 

前回記事、伊奈学園総合高校について書くときに調べていたのですが、埼玉県では、不登校の生徒を対象とした「特別な選抜」という枠を設けていますね。

この枠では、欠席日数よりも生徒の意欲や適性が重視されることが多く、公立高校進学を望む生徒サイド、定員割れに苦しむ公立高校サイド、双方にとってメリットがあります。

 

富山県の不登校児童生徒数は、昨年の調査で小学生1,110人、中学生1531人と過去最多を更新しました。

中学生は学年あたりおよそ500名。新設予定の大規模校の生徒数を超えているのです。

 

また中学生の1割程度が発症するとされる起立性調節障害ですが、不登校の原因の3割から4割を占めるとも言われています。

課題提出などの負担、受験ストレスなどは、その症状をより悪化させる場合もあります。

 

すでに現行の内申点のつけ方に問題が指摘され、5年後の変更の方針が文科省から示されている中、富山県としても、一刻も早く何か手を打つ時ではないでしょうか。

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