素数レース
富山本部校高校部
3以上の素数は奇数なので、4で割った余りは1か3になります。
これらの分布(現れる頻度)を考えてみましょう。
3以上の自然数 x に対して、x 以下の奇素数で、4で割った余りが1、3のものの個数をそれぞれ
A(x)、C(x)
と書くことにします。
まず初めに言っておくと、x → ∞ のとき、つまり素数全体で見れば、余り1のグループも余り3のグループも同じだけたくさんあることがわかっています。
これはディリクレの算術級数定理によるものです。
では小さい x ではどうでしょうか。
例えば、
A(10) = 1 (5のみ)
C(10) = 2 (3と7)
A(100) = 11 (5, 13, 17, 29, 37, 41, 53, 61, 73, 89, 97)
C(100) = 13 (3, 7, 11, 19, 23, 31, 43, 47, 59, 67, 71, 79, 83)
のようになり、C の方が大きくなります。
この傾向は 26861 (素数) まで続きます。
x < 26861 のとき、A(x) ≦ C(x) となります。
等号が成り立つタイミングも数えるほどしかありません。
で、x = 26861 で初めて A > C となり、次の素数 x = 26863 で A = C、その次の素数 x = 26869 でまた A < C となります。
そしてこれは 616841 (素数) まで続くことになります。
このように、全体では同じだけあるはずなのに、余り3のグループの方が多いように見える現象を「チェビシェフの偏り」といいます。
因みに A と C の大きさの逆転は無限回起きます。
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