世(よ)とは何だヨ
富山本部校高校部
「世慣れたる人ならば…」「げに世づかぬや」
まったくの偶然ですが、
最近古文の授業で、「世慣る」「世づく」という類の言葉に触れることが多い。
「世」とは現在の私たちにとっては、当然「世の中」のことであり、
俗世間のみならず、ワールドワイズないわゆる「世界」をも意味します。
でも、しっかりお勉強をしている受験生なら当然の知識ですが、
「世」「世の中」には、「男女の仲」という意味もあります。
その話が男女の恋愛をテーマとするものであれば、
「世慣れたる人」は「男女の関係に慣れている人」、
「世づかぬ」は「男女の情を解していない」ということです。
自分の目の前にある生(なま)の現実のみが「世」ということになります。
なんとも狭隘(きょうあい)で切なくなるような世界観です。
ただ、
現代は、インターネット等を通じて地球の裏側まで瞬時に情報が届いてしまう
まことに便利な時代になってはいますが、
誰もがはるか遠くばかりを見つめて、
自らの足元にあるもの、ごく身近な人間関係について、
むしろ見落としがちなことも多いような気がします。
「世慣る」「世づく」の「世」が時に恋しくもなるわけです。
