春愁ならぬ秋愁
富山本部校高校部
今、私のパソコンのデスクトップには、
能登、志賀町にある「世界一長いベンチ」の映像が、
雲一つない秋晴れの空を背景に燦然と輝いている。
このベンチの真裏にあるホテルに泊まった時の映像である。
7、8年ほど前のちょうど今頃の季節のことである。
あれからこの地には出向いていない。(コロナ禍…能登半島地震…)。
ひと月半ほど前であろうか、久しぶりに和倉温泉に行ってみた。
以前は頻繁に出向いていた場所ではあるが、なんか「怖さ」が先に立った。
あの地震からまもなく2年が経とうとしている。
七尾の中心地から和倉へ向かう道は、補修が済んでいたためか、
昔と何ら変わらない様子だったので、ちょっとホッとしつつ、温泉街に入った。
愕然とした。
加賀屋前のメインストリートに立ち並ぶ大きな温泉ホテルの何軒かが、
ビルの上部が崩れたままだったり、すでにビルが解体されていたりしたからだ。
いずれもかつては週末ともなれば、宿泊客で盛況だったはずのホテルである。
あの「世界一長いベンチ」も今頃どうなっているのやらと思うと
胸が暗鬱にざわつく。
心置きなく温泉につかって、つつがなく一時(いっとき)の癒しを得るまで
もうちょっと時間がかかりそうである。
