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いい感じの拡張

富山本部校高校部

高校数学では「複素数」というものを導入します。

複素数は実数 a, b により a + bi の形に表されます(この i は虚数単位と呼ばれます)。

実数と同様に四則演算が(0で割ることを除いて)自由にでき、積は結合法則と交換法則を満たします。

複素数は実数の”いい感じの”拡張になっているわけですね。

 

実数は数直線上の点として表現できましたが、複素数は実数を2つ決めると1つに決まるので、平面上の点として表現できます。

そういう意味で、実数は1次元、複素数は2次元と思えます。

 

さて、こうなると、「さらに高い次元への拡張はできないだろうか?」と考えるのは自然なことでしょう。

19世紀の中頃、ハミルトンという人がさらなる拡張を考えました。「四元数」と呼ばれるものです。

四元数は実数 a, b, c, d により a + bi + cj + dk の形に表されます(この i, j, k も虚数単位と呼ばれます)。

実数と同様に四則演算が(0で割ることを除いて)自由にでき、積は結合法則を満たしますが、交換法則は満たしません

しかし、ひとます結合法則は満たすということで、数学的にはそれなりに”いい感じの”拡張といえます。

そして、四元数は実数を4つ決めると1つに決まるので、4次元と思えます。

 

この調子でどんどん拡張できそうですが、実は”いい感じの”拡張はここまでしかできないのです。

もう少し細かく言うと、有限個の実数で表せる数で、四則演算ができて、積が結合法則を満たすようなものは実数と複素数と四元数しかありません。

これを「フロベニウスの定理」といいます。

例えば、おそらくここまでで皆さんが想像したであろう「八元数」というものも確かに存在しますが、積は結合法則を(もちろん交換法則も)満たしません。

 

因みに、複素数を使って平面上の回転を表現できたように、四元数を使って空間内の回転を表現できます。

 

※ どこまでを”いい感じの”拡張とするかはもちろん立場によります。

 

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