礼を失する
富山本部校高校部
メジャーリーグを見ていると、その日初めてグランドに立つ時、
日本人選手が帽子をとってグランドに一礼する光景を目にする。
私も少年野球チームや、学生時代はバレーボール部に所属していたので、
グランドや体育館の出入時には一礼するのが当たり前だった。
ところが、これが他国の人々にとっては、奇妙な光景に映ることもあるらしい。
「今日のグランドには何か謝らなきゃならないことがあるのか」とでも疑うのだろうか。
自分がプレーする「場」に対する「感謝」「敬愛」の思いは、
きっと武道の精神がその大本にあるのだろうから、日本人にしかわからないのも頷ける。
国や民族間の習慣の違いだ、と言ってしまえばそれまでだが、
それでも、外国人選手がグランドに平気で唾を吐く場面に出くわすと、
何とも堪えがたい思いに駆られる。
ところで、最近のバレーボールは、
足でボールを意図的に蹴り上げてもいい競技になっているらしい。
僕らが学生の頃は、ボールを足で蹴るなんてもっての外で、
片付ける時も、一つ一つ丁寧に手で拾い上げたものである。
ボールが床面に落ちなければいいわけだから、理に適っていることはわかるが、
日本人選手までがボールを蹴り上げているのを見ていると、
往年の排球選手は、
やはり「礼」を失しているような気がしてならないのである。
