富山育英センター

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佳偶

富山本部校高校部

才郎淑女にして、応(まさ)に是(これ)佳偶なるべし

 

先日の授業で扱った漢文の問題文の一節を書き下したものである。

立派な容姿も学才も身につけた若い男が、とある親戚の家を訪ねた時、

その家の娘と訪ねて来た若者を見て、近所の奥さんが言った言葉である。

設問には「どういうことか具体的に説明せよ」とあった。

「郎」とは、一、次と男の子の名に使われるから「男(若者)」を意味する。

だから「有能な若者」。「淑女」は「おしとやかな娘」。

問題は「佳偶」である。

「佳」は、作、境などの言葉から、「よい、すぐれている」などと発想できるが、

「偶」については、「偶然」の「偶―たまたま-」、「土偶」の「偶―人形―」、

「偶数」の「偶」などと多様な意味がある。

ここで、ちょっと待てよ、「配者」っていうのもあるじゃないかと思い出した人は、

この「偶」が「つれ合い」すなわち「夫婦」ではないかと、発想できるわけである。

 

有能な若者とこのおしとやかな娘ならば、よい(似合いの)夫婦になるにちがいない。

 

数ある熟語から文脈に即した当の漢字の意味を選び取り、類推する。

漢文はそこが楽しいところなんだけどなあ…、と慨嘆する私があっちにもこっちにもいる。

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