庭の白雪
富山本部校高校部
風さゆる夜半(よは)ともいはず起き明かす主や犬ににはの白雪
大雪の降る夜、春近という管弦に従事する役人が厚い防寒用の衣を身につけて
自邸の庭に下り、下部(しもべ)を呼んで、雪で鬼や仏の姿を作らせました。
下部は破れたものを縫いつくろった衣しか着ておらず、寒さに震えていたはずですが、
主人の春近は「ああ、この雪仏の顔の面白いことよ」とますます興に乗って、
この雪の興趣を歌に詠むよう下部に命じます。それが上記の歌です。
下部はこの歌を詠んでのち、すぐさま自分の部屋に逃げ込んでしまいます。
この歌は「犬にには」のところで、「似(る)」と「庭」の「に」が掛詞になっています。
〈風が冷え切っている夜中にも関わらず、起きて夜を明かす主人は、雪を見て喜ぶ犬に似たようなものだ、この庭の白雪を見ていると〉
お話はここで終わっていますが、
普通なら主人を犬と同等に扱った下部は、主人の怒りを買うはずです。
しかし歌の興趣を理解している主人であれば、雪に託しつつ意外な掛詞を駆使して、
とっさに主人を非難する歌を詠んだ下部をむしろ称賛するのでないかと
つい想像してしまうのです。
大雪の中でも、時には風流をもてあそぶ余裕を持ちたいものです。

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