暮らしある風景
富山本部校高校部
先の日曜日、町内の草刈りに参加した。
「町」といっても、今暮らす場所は農家が大半の土地柄なので「村」といった方がいい。
その「村」人の草刈り隊が、機械を使って用水に落とした草を、
スコップで上に引き上げるのが私たちの仕事である。
初夏の太陽が照り付ける中、草を投げ上げ投げ上げ、
用水から1.5mほど立ち上がった土手を這い上がり、あぜ道を移動することの繰り返し。
そのうち足が動かなくなり、400mを全力で走り切った後のような気分になる。
ところが「村」人たちは、私と同世代あるいは年上とおぼしき人もつらい顔一つ見せず、
粛々と作業を続けていく。ただ畏れ入るばかりである。
班長さんが軽トラでペットボトルのお茶を運んできた。いっときの休憩である。
あぜ道に座り込んで、縦に100m近くはあろうかという広大な田んぼを眺める。
快い風が頬をなで、少し背の伸びた稲が幾筋も整然と一直線に奥まで続く。
「やっぱ自然はいいなあ」とついつぶやいてしまうが、この目の前の全ては、
かの「村」人たちが先祖代々長い時間をかけて作り上げてきたものなのだ。
著名な庭園のように美観を狙ったものでは決してないが、
人の暮らしがしみ込んだ風景は、たとえ人工のものであっても美しいのである。
半分ほど残っていたお茶をぐいっと一気に飲み干す。
田んぼ向こうを行く、草刈り機を抱えた「村」人の佇まいまでが
美しく見えてくる…。

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