大和言葉―夏―
富山本部校高校部
炎暑の中町を行く。
あまりに強い日差しに、片陰(かたかげ)を求めさまよう。
ようやく大きなお屋敷の塀にわずかな陰のありかを見つけ、そそくさと逃げ込む。
汗をぬぐうと、そこだけ涼風(すずかぜ)がささやかに通り過ぎる。
ほっとひと息つく。
サア、そろそろ郊外の家に帰ろうかな、と思う。
車から降りるやいなや、蝉時雨(せみしぐれ)が頭上から降り注ぎ、
目の前の田園風景いっぱいに熱い草いきれが立ち込め、時折薫風(くんぷう)が身を包む。
日が次第に傾いてきた頃合い、
ホースを手に、庭とその先の道に向け、思う存分打ち水を施す。
ふと横に目を向けると、空蝉(うつせみ)が一つ、白い壁にしがみついていた。
やがて、打ち水に誘われ今度はびゅーっと吹き付けた涼風に、
生きとし生けるもののはかなさが、
吹き飛んでいった。
「炎暑」「片陰(影)」「涼風」「蝉時雨」「草いきれ」「薫風」「打ち水」「空蝉」
いすれも夏という季節を彩る大和言葉(和語)です。
意味が分からんぞという言葉は、ぜひお調べいただければ、
夏の情感が涼風と共に、より心地よく頬をよぎって吹き過ぎてゆくでしょう。

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