盆
富山本部校高校部
お盆のお休み期間が始まると同時に、千葉で大変な豪雨災害が発生した。
川のようになった道路や、床上浸水に見舞われた各家庭のニュース映像を見て、
そういえば、私が生まれ育った町にも昔洪水騒ぎがあったなと、ふと思い出した。
小学生の頃だったと思う。
実家玄関の上がり框(かまち)の上部ぎりぎりまで水が溢れている有様が、
今でも鮮明に記憶に残る。
大人たちは、さぞ戦々恐々たる思いであったのだろうが、
子供とは怖いくらい無垢な生き物で、
命をも左右する非日常性を目の前にしながら、その非日常性ゆえに、
かえって妙な高揚感に心を突き動かされるような感覚があったことを覚えている。
大きなお屋敷の池の錦鯉が逃げ出したという噂を耳にするや、
水に足を踏み入れ、外に鯉を探しに行きたいという衝動に駆られるほどだったのだから。
外に出ることは当然親から止められたわけだが、
子供の私は、そのあとも2階の窓から、川となった通りに錦鯉の姿を追い求めていた。
終戦の日の翌日、小中高と席を同じくした友人の訃報が私のもとに届いた。
豪雨災害で亡くなった方々と合わせ、ただただ冥福をお祈りするばかりである。
世は無常というが、
この歳になってようやく、無常の何たるかに思い至ったような気がするのである。

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