「指させない点」は存在しない?
魚津本部校
問題1 最大値は存在する?
関数 y=x(0<x<1) について考えます。
この関数は、x が1に近づくほど y も1に近づいていきます。
では、この関数には最大値が存在するでしょうか。
「最大値が存在する」なら、その値はいくつでしょうか。
問題2 √3はどこにある?
次に、曲線 y=x^2−3 とx軸との交点を考えます。
x軸上では y=0 なので、
x^2−3=0 より、x=√3 となります。
したがって、交点は (√3,0)
です。
ここで、ちょっと不思議なことに気づきます。
√3=1.7320508⋯
です。
例えば、
-
1.7 を指しても違う。
-
1.73 を指しても違う。
-
1.732 を指しても違う。
-
1.73205 を指しても違う。
どこまで数字を書いても、まだ続きがあります。
では、
「√3の位置を正確に指さすことができないなら、√3 という点は本当に存在するのでしょうか?」
解答・解説
問題1の答 最大値は存在しません。
なぜでしょうか。
例えば、x=0.9 なら y=0.9 です。
しかし、x=0.99 とすれば、
y=0.99 となり、さらに大きくなります。
また、
0.999, 0.9999, 0.99999,…
と、どこまでも1に近づくことができます。
ところが、x=1 は条件 0<x<1 に含まれていません。したがって、
どの値を「最大値」として選んでも、それより大きな値が存在する。
だから最大値は存在しません。
問題2の答 √3 は、ちゃんと存在します。
ここが今回の一番大切なポイントです。
確かに、 √3=1.7320508075⋯ と小数で表すと、数字は永遠に続きます。
そのため、
「1.7を指しても違う」
「1.73を指しても違う」
「1.732を指しても違う」
となります。
しかし、
「小数で最後まで書けない」ことと、「その数が存在しない」ことは別です。
√3 という数は、
(√3)^2=3
を満たす正の実数として、ただ1つに決まっています。
だから、√3 の位置も数学的にはきちんと決まっています。
「指させない」と「存在しない」は違う!
ここをしっかり区別しましょう。
例えば、
1.7,1.73,1.732,1.73205,…
と小数を使って位置を示していくと、いつまで経っても完全には一致しません。
でも、√3 という記号を使えば、その数を正確に指定できます。
つまり、
√3は「指で正確に指し続けることができない点」ではあっても、「存在しない点」ではありません。
最大値の問題との違い
ここで、問題1と問題2を比べてみましょう。
問題1
y=x(0<x<1)
では、1に近づくことはできます。
しかし、x=1 は範囲に含まれていません。だから最大値はありません。
問題2
y=x^2−3
では、x=√3 という数がちゃんと存在します。
そして、(√3)2−3=0 が正確に成り立ちます。
だから、(√3,0) という交点もちゃんと存在します。
まとめ
今回のポイントは次の3つです。
-
「どこまでも近づける」ことと「その値をとる」ことは違う。
-
小数が無限に続くからといって、その数が存在しないわけではない。
-
「正確に指で指せない」ことと「数学的に存在しない」ことは別。
√3 は小数では最後まで書けないが、数学的には完全に決まった数である
「√3はどこにあるの?」という素朴な疑問から、実は無理数・実数・極限という数学の重要な考え方につながっていきます。
「無限に続くのに、なぜ1つの数として存在できるの?」
ここまで考えられると、数学の見え方が少し変わってきます。
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