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私の好奇心7

富山本部校高校部

大西琢朗さんの「論理学」第4章の続きです。

前回,□と◇についてのいくつかの解釈を挙げました。それによって,「□AからAが帰結できる」や「□Aから□□Aが帰結できる」などが正しい場合,誤っている場合が考えられることになります。

これを,フレーム上の到達可能性関係の性質として表現していこうという方針をとります。例えば,「□Aから□□Aが帰結できる」ことと「すべてのxyzWについて,xRyかつyRzならばxRzである」が同値であることが示せます。

このような関係を,「推論SがフレームFで妥当である」⇔「フレームF上の到達可能関係Rが性質Pをみたす」とき推論と性質は対応する,と定義します。

性質Pとして,①「すべてのxWについて,xRxである(Rが反射的)」,②「すべてのxyzWについて,xRyかつyRzならばxRzである(Rが推移的)」,③「すべてのxWについて,xRyとなるy(W)が存在する(Rが継続的)」,④「すべてのxyWについて,xRyならばyRxである(Rが対称的)」,⑤「すべてのxyzWについて,xRyかつxRzならばyRzである(Rがユークリッド的)」を考えます。(この辺りの用語は”数学的”なのでちょっとほっとします。) このとき性質の番号と対応して,①”T“「□AからAが帰結できる」,②”4″「□Aから□□Aが帰結できる」,③”D”「□Aから◇Aが帰結できる」,④”B”「Aから□◇Aが帰結できる」,⑤”5″「◇Aから□◇Aが帰結できる」が妥当な推論となります。

何も仮定しない様相論理をアメリカの論理学者クリプキ(Saul A. Kripke)に因んで,Kフレームとよび,さらにKフレームで妥当な推論の集まりを論理Kとよぶそうです。これに追加で①”T“が成り立つフレームをKTフレーム,KTフレームで妥当な推論の集まりを論理KTとよびます。伝統的に,KTフレームに②”4″を追加したフレームKT4をS4フレーム,KTフレームに⑤”5″を追加したフレームKT5をS5フレームとよび,その論理を論理S4,論理S5とよぶそうです。特別な名前で呼ぶということは,何らかの重要性があることを示唆していそうですね。でも,ざっと読み通したとき特に触れてなかったように思います。もっと詳しく知りたければ,参考文献にあたる必要があるかもしれません。

ちなみに,現代的な様相論理は,ルイス(C. I. Lewis),ゲーデル(Kurt Gödel)などの貢献がありつつクリプキによって一気に発展したそうです。人知はとんでもなく無限です。

 

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