勉強は続く
富山本部校高校部
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ
藤原定家の有名な和歌である。「浦」とは「浜辺」、「苫屋(とまや)」とは、「粗末な家」を意味する。秋の海辺の何の色彩もない寂寥感を詠んだ和歌だ。
ところが、和歌はひらがな表記になっていることが多いせいか、恥ずかしながら、とある時期まで僕は、「浦」を「裏」だと思い込んでいた。いったいどこの裏なんや!という感じである。
この和歌の面白いところは、「花も紅葉もなかりけり」と何も「ない」と強く否定しておいて、逆説的にというか、反語的にというか、かえって一面満開の桜花や一面赤や黄、色とりどりの紅葉が不意に視界に広がってくるところだ。それが海辺ならなおさら美しい光景だろう。どこだろうと「裏」ではその興が湧かないのは言うまでもない。
普段は高校生を前に、いかにももっともらしく言葉を知ることの大切さを教えている身ではあるが、所詮こんな取り違いや勘違いを繰り返して出来ている今の我が身である。
これからも修行、勉強の毎日は続きそうである。
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