受験生が中心を見た
富山本部校高校部
大昔受験生だった頃、たった一人東京まで受験に出かけた。
当時、急行能登という夜行列車が運行されており、それに乗って東京に向かった。
列車に揺られているうちに、おなかが痛くなってきた。
調子に乗って、晩御飯のすき焼きを食べ過ぎたからだろうと思う。
早朝6時前に上野駅に到着した。おなかは相変わらず調子が悪い。
ホテルのチェックインの時間までは程遠い。どうしよう。
とりあえず山手線に乗った。とある駅で降りた。そして、なぜか東京の街を歩き始めた。
くそっ、相変わらず腹痛いなと思いながらも、初めての都会を眺めながら歩いた。
高層ビルや足早に歩く都会人に圧倒されながら歩くうちに、
いつもテレビで見る、県庁をバカでかくしたような建造物が目に入って来た。
国会議事堂だった。
おぉぉ!これが国会議事堂かぁぁぁ!と、おなかが痛いのも忘れて見入っていた。
偶然とはいえ、初めての東京で、いきなり日本の政治の中心を一望した受験生は
あまりいないと思う。
結局、それでもおなかが痛いのは収まることはなく、
事情を話して早めにホテルの部屋に入れてもらった。
入試直前の食べ過ぎには気を付けなきゃね、ということだろう。
でも、おなかが痛いと、「中心」に出会えるかも…。