育英センター 田中の教育ブログ「高校入試単願制見直し指示」
滑川校
今年の4月、石破首相が一つの公立高校しか受験できない「単願制」の見直しに向けた検討を関係省庁に指示しました。
↓
全国的に公立高校の志願者が減少している中での動きです。
公立の高校にはない、バラエティに富んだ特色を打ち出し、また入試の日程も早い私立高校。
授業料の実質無償化(高等学校等就学支援金制度)や、入学定員の公私比率の撤廃など、県立高校と私立高校の競争が激しくなる要素は増すばかりです。
昔は「私立の授業料は高いから、県立に行きなさい」という声もありました。
しかし現在、実質の授業料に公私の差は無いと言ってよいでしょう。就学支援金の支給の際に設けていた所得制限すら撤廃するわけですから。
※昨日の北日本新聞、隠れ教育費の記事は非常に興味深く読ませていただきました。
入試というのは、各県それぞれ、地域の事情に合わせて長い年月をかけ形作られてきたものです。
よって、「複数の公立高校を志願できるようにする」という捉え方にも、各県ごとに差が出て当然だと思います。
例を挙げますと、大分県で今月発表された『複数校志願制度』は・・・
↓
富山県にお住まいの皆さまならお分かりの通り、大分県の新しい『複数校志願制度』は、現状の富山県入試とほぼ同じです。
上記の記事より引用しますと・・・
新たに導入されたのは「複数校志願制度」です。
県教委によりますと、新制度は2026年3月から導入され、第一志願である一次入試の合格発表後、
欠員のあった学校や学科を対象に第二志願校の出願が行われます。
この第二志願校では新たに試験を行わず、一次入試の得点や調査書の点数で選抜するということです。
ただ、第二志願で普通科を選択する場合は、受験生の出身中学校のある市町村ごとに出願可能な高校に制限を設けるということです。
富山県では、2年前より学区制を完全撤廃しております。大分県では普通科の第二志願に制限を設けたので、そこが違う部分です。
さて、「もし」の話ですが、富山県の県立高校入試において、第1志望、第2志望という風に、2つの高校を同時に志願できるようにした場合、どういう影響が出るのでしょうか。
おそらくですが、混乱が生じるのは避けられないと思います。
既に、富山県の県立高校には、俗に言う『スライド合格』というものが存在します。
例)第一志望 富山中部高校探究科学科 第二志望 富山中部高校普通科
富山中部高校探究科学科 不合格 → 普通科 合格
・・・という風にです。
※なお、昨日より結果返却開始の第二回育英模試では、富山中部探究科学科の第一志望数が112名と昨年の98名、一昨年の96名より大幅に増えております。今年も人気を集めそうですね。
普通科内のコース(音楽コース、自然科学コース・・・)のスライドもありますが、富山県では異なった科の間でのスライド合格が制度として定着しているのです。
そこに第二志望高校をさらに記入するとなれば、願書の書き方が複雑化しますね。
例えば、富山中部を第一志望高校、富山を第二志望高校とする場合、普通科・探究科学科合わせて4つの志望が発生することになります。
Web出願の際、保護者の皆さんは混乱しそうです。現場のチェックも大変でしょうね。
仮に探究科学科→普通科のスライド合格を廃止し、第一志望高校、第二志望高校に書けるのは同じ学科のみとする、とした場合、各所から猛反対が出そうです。
入試の採点のあり方にも影響が出そうです。
おそらく、入試は第一志望の高校で受験することになりますが、各高校での採点の際、今まで以上に労力がかかることでしょう。
富山県入試は記述問題が多いため、いくらガイドラインに沿って採点しても、採点現場によってばらつきが出る可能性が否めないからです。
多くの都会の公立高校入試のように、マークシート型、記号選択型の問題構成に変更すれば、ある程度ばらつきは防げますが・・・
↓
過去記事 高校入試のマークシート移行の流れ
やはり、これまで培ってきた入試方式を大きく変更するのは相当な負担がかかりそうですね。
上記の記事で申し上げましたが、志願変更制度の導入のほうが現実的ではないか、と個人的に思う次第です。
全国で志願変更制度のない都道府県は9つ、これはラウンドワンのない都道府県の数と同じです。
今回の記事は以上です。引き続き富山県の県立高校の改革について、見守っていきたいと思います。
(なお、埼玉県の伊奈学園総合高校についての記事を現在準備中です)
恒例の余談です。
昨日も朝から高校野球の応援に行ってきました。
最近いろいろな高校で応援歌に入っているのが「ワカチコ」です。
若さ、力、根性の略ではないかと言われている『ワカチコワカチコ♪』 ← 頭の中で何度もリピート再生されて困っております。
自身も高校生の時、応援団として自校の野球部の応援をしておりました。
試合が終わった後、勝っても負けても、相手チームのこれからの活躍を願って、お互いにエールを送り合う文化が残っているのはとてもすてきだと思いました。
前職のときにも社会人野球の応援団をしておりまして、東京ドームでの応援中、太鼓の音が間近で入ってしまい、現在も少し難聴が残っています。
そして現職では、生徒の皆さんの夢を叶えるため、エールを送り続ける仕事をしております。