燕の巣はありますか?
富山本部校高校部
庭に出ると、つがいの燕が、滑空とターンを繰り返して、
界隈を気持ちよさそうに飛び回っていた。
田んぼ一枚挟んだ隣家の納屋に巣があるのは以前から知っている。
絶賛子育て奮闘中というところだろうか。
小学生の頃、今の季節「燕の巣調査」というのがあった。
小学生が3人ほどのグループで何件かの家を訪問して、
巣の有無や以前作られた巣の現況などを調べ回っていたのだと思う。
僕らが歩いていたのは、駅前の商店の多い地域だった。
今はすっかり様変わりしているが、当時の商店の家は奥行きのある縦長の家ばかりだった。
表から入ると土足のまま行ける土間の通路が奥までずっと続いており、
それに沿って部屋が並んでいる。一番奥まで行くと、それなりに広い庭が開けてくる。
その庭を前にした軒下辺りに燕の巣があったのだろう。
薄暗い土間道を抜けると、茶の間に人の気配。さらに進むと柔らかい日差しと庭。
人に拒まれることなき小動物の生。
当時の僕は、むしろこういった人々の生活の方に心ひかれたのだろうと思う。
小学生の燕の巣調査は、今や全国でも石川県でしか実施されていないらしい。
子供たちが人や自然のあからさまな在りように触れる機会がなくなりつつあるとすれば、
何かぶるっと身震いするような思いがするのだ。

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