育英センター 田中の教育ブログ「新時代とやまハイスクール構想 第一期再編案 その3」
滑川校
前回、その2の記事では、新時代とやまハイスクール構想の7つの類型のうち未来探求ハイスクールについて考察しました。
今回は「グローバルハイスクール」について述べたいと思います。
③グローバルハイスクール 中規模 第一期(2029~)
定員はおそらく6学級(240名)で、現在の富山高校の定員と同数です。
新時代とやまハイスクール構想において、STEAMハイスクールは明確に県東部と県西部に1校ずつ配置する、としています。
しかし、グローバルハイスクールについては、今後の展開について含みを持たせています。
第一期に作られる、富山高校を母体にしたこの高校を重点校と位置づけ、第二期以降のさらなる設置については効果や必要性を判断して決定する計画です。
(新たに作るとしても東西に一校ずつ、つまり県東部は最大2校、県西部は最大1校)
それも仕方がないことなのですが、今、日本の大学が急速にグローバル化しており、どこまで変化していくかが読めないのです。
今年3月末、富山大学が令和10年度(2年後)の一般入試において、下記の変更予告を出しています。
富山大学が発表した通達↓
https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/d1095fdb8ff5615820a1fb7b2f080500.pdf
一般入試受験者のうち、英語の共通テスト(リーディング)得点下位11%は不合格とする、というものです。
他の教科の得点がどれだけ高かろうとも、当日英語のリーディングで大きな失敗をすると問答無用で不合格になる、ということでしょうかね。
詳細は来年7月の選抜要項にて発表予定ですが、2年後の入試について、これだけ早い段階から英語の重要性を予告しているわけです。
一定の英語能力がない生徒は不要、という流れは、果たしてどこまで拡大していくのでしょうか。
もう一つ、急速に変化しているのが「日本国内大学のIB(国際バカロレア)入試」です。
現在、IB開設に向けて準備は進めているものの「様子見」をしている県が多くあるでしょう。
というのも、国立大学における一般入試、すなわち共テ→2次試験という流れと、IB校はそもそも合わないのです。
IBで行う探究的な学び、記述や論述中心の学びは、幅広い知識、そして解くスピードを求められる大学入学共通テストとは方向性が真逆ですよね。
御三家の探究科学科においても「フィールドワークにかける時間やプレゼン準備の時間があったら、入試の勉強をしたい」という、本来の設立趣旨とは真逆の声が挙がることもあります。
IB校の DP(ディプロマプログラム)の2年間は、課題(EE)、論文(TOK)、活動(CAS)等で多忙を極め、一般的な受験勉強の時間を捻出するのが大変です。
よって新時代とやまハイスクール構想においては、公表されているこれまでの資料を見ても、当たり前ですが非常に慎重な書き方になっています。
※ところどころの細かい表現に、深い配慮があるのが読み取れます。
https://www.pref.toyama.jp//300203/kurashi/kyouiku/gakkou/kentoukaigi/kentoukaigi11.html
最新の第11回検討会議資料には、「国際バカロレア」という言葉は出てきていません。
それくらい、これはデリケートな問題です。
新聞、テレビ等のマスコミも、先走った報道は混乱を招くだけですので、十分な取材の上、慎重な書き方が求められると思います。
第10回検討会議資料2↓
https://www.pref.toyama.jp/documents/55036/siryou2.pdf
上記資料より、IBについての記載を引用しますと…
まずは「グローバル」に重点を置く学校を設置し、その取り組みを検証しながら、(国際バカロレア)認定校のニーズや効果を整理し、導入の必要性などの議論を重ねる。
設置する場合は、教育内容として「スタンダード」と「グローバル」などを組み合わせ、県東部での設置を基本とし、中高一貫教育校の検討も行う。
IBを成功させるためのカギは、設備(モノ)やお金(カネ)も大切でしょうが、やはり「ヒト」です。
まずは教える側。
将来目指す地点は日本語DPになるでしょう。人材確保の観点から、大都市以外で英語DPを目指すのは無理があります。
その準備として、英語以外の科目をオールイングリッシュで授業するとなれば、相当な負担が教師側にかかります。
未熟なオールイングリッシュの授業ならば、日本語で教えるほうが効果が高い、ということにもなりかねません。
次に教わる側。
MYP→DPと段階を踏んで、慣れていくのならば抵抗は少ないでしょうが、いきなりDPというのは生徒側に相当な負担がかかります。つまり案としては現実味がありません。
高知や広島など、地方都市のIBをモデルにするならば、やはり中高一貫校として中学から生徒を育てていく、というのがベターです。
そういう観点から、上記のように「設置するとすれば、中高一貫教育校の検討も行う」という書き方になっているのでしょう。
2027年9月、東京大学が70年ぶりの新学部「カレッジオブデザイン」をスタートさせます。
授業はオールイングリッシュ、全寮制、IB入試あり、定員100名中50名は海外、50名は国内、という感じです。
求められるIBスコアの要件は、当然国内最高クラス。
ここから一気に全国の国立・私立大学でIB入試が広がっていくでしょう。その速度も非常に読みづらい。
よってグローバルハイスクールは、あえて形をきっちり決めない、というのが最善になると思います。
私は、新高校が
①グローバル化する大学での学びに対応できる高校
②英語のハードルが上がっていく大学入試に対応できる高校
になると、期待しています。