育英センター 田中の教育ブログ「国語の記述問題が得意になりたい」
滑川校
今回の記事をお読みになる前に、国語が苦手な生徒のみなさんは、下記の過去記事に目を通しておいていただけると助かります。
今回の記事は、記述問題が得意になりたい生徒に向けた記事です。
※過去の断片的なブログ記事をここにまとめ、さらに内容を足しました。
私は大学時代の4年間、都会の集団指導塾でアルバイトをしていました。
当時は楽な時代で、校舎を一つまるまる任され、下は小学生から上は高校生まで教えていました。
特に、中学生にいたっては5教科全て担当しておりました。
当時、英数国理社の中で、教えるのが一番難しいと感じたのが国語です。
教科書に沿って、文章を生徒とともに味わったり、内容をかみ砕いて考えたりする授業を中心にしたいのはやまやまですが…
塾では、生徒を入試で合格させるため、テストでの点の取り方、答案の作り方に時間を割かなくてはなりません。
漢字や文法の指導には自信があったのですが、記述式の問題の教え方については本当に悩みましたね。
その当時の経験が現在の指導に大きく生きていると感じます。
今回は、国語の記述問題が得意になりたい生徒へ、いくつかアドバイスを差し上げたいと思います。
下手は上から、上手は下から
まずは、下記の簡単な例題を解いてみましょう。
簡単な例題
遠くよりだんだん、海面から飛び出した黒い三角形が近づいてくる。
ぼくはそれが鮫の背びれだと思い、慌てて砂浜を目指した。
問 それ とありますが、何を指しますか。本文中の言葉を使い三十字程度で答えなさい。
解けましたか?
難しい、と感じる子のために、問題を変えてみましょう。
簡単な例題(改)
遠くよりだんだん、海面から飛び出した黒い三角形が近づいてくる。
ぼくはそれが鮫の背びれだと思い、慌てて砂浜を目指した。
問 それ の指すものを五字で書き抜きなさい。
これならば簡単ですね。
答えは…
そう、黒い三角形です。これはいわば「結論」です。
絶対に鮫(サメ)の背びれと答えてはいけません。算数の確かめ算よろしく、自分の答えをそれに代入し、文意が通るか確かめてみてください。
私は鮫の背びれが鮫の背びれではないかと思い~ と大変なことになるのが分かりますね。
さて、五字の答えが「黒い三角形」であるならば、三十字程度で答える場合は「黒い三角形」の前に二十五字前後の修飾語がつくだけです。
極端な話、五十字程度で答えなさい、百字程度で答えなさい、と言われても最後は「黒い三角形」でとめてOKです。
こうやって、最後が何でとまるか、をまずは考えるのです。
最初の例題の正答例
遠くよりだんだん近づいてくる、海面から飛び出した黒い三角形。
極力本文の言葉を利用することも忘れずに。
このように、後ろから考えることが日本語では重要になってきます。
これは記述問題だけにとどまらず、人前で話をするときにも同様のことが言えますね。
話が下手な人は、今自分が話していることに集中しすぎて結論を見失い、聞き手は「結局何が言いたかったの?」となってしまうのです。
話が上手な人は、途中本筋から脱線したとしても、必ず結論に向けて軌道修正をうまく行っていきます。そうするといい具合に話が膨らみ、終わりが上手に締めくくられるので、聞き手は「良い話を聞いたなあ」となるのです。
繰り返しますが、記述問題が得意になりたい人は、まず結論から(=後ろから)考えるようにしてみてください。
①問いに対して、まずは字数を考えず、端的に答えをイメージする。
②本文の言葉を極力用いて、そのイメージを字数に合わせて調整していく。
解答例を疑え
さて、先ほどの「黒い三角形」の例題の文章は、田中が即興で考えたものです。
仮に、それが問題集に掲載されていたとし、正答例として下記のものしか載っていない場合、生徒たちは「果たして自分の答えは正解なのか」と悩むことになります。
正答例)遠くから徐々に近づく、サメの背びれに似た黒い三角形のもの。
…だんだんは要らないのか?
…海面から飛び出していることは記述しなくてよいのか?
さて、私は生徒たちと違い、教える側ですから、当然生徒たちに演習させる前に問題集の解答例を見ています。
しかし、「そんな答えを書く生徒は一人もいない」と断言できる、本文を華麗に言い換えた答えや
「これ、原文の小説家が激怒するのでは?」と心配になるくらい問題作成者の主観が入った答えを目にすることがあるわけです。
解答から逆算して、生徒をそれらの正答例に追い込むような「型にはめる」授業は誰でもできます。
しかし、このタイプの授業は、生徒を「国語嫌い」にも追い込む危険性をはらんでいます。
「本文を華麗に言い換えた答え」は、国語が得意な子には大変勉強になるでしょう。
しかし、国語が苦手な子は「こんな答え書けるわけがない!」と自信を失い、各種テストで記述問題をあきらめてしまうかもしれませんよね。
実際の入試は、記述力が試される問題も出題されますが、本文の適切な箇所を引っ張ってくればマルになる問題も多く出題されています。
華麗な正答例に追い込まれる経験を多くした生徒ほど、なんとかして自分の言葉で記述しようとする。
しかし、そうすれば自分の主観が答えに多く含まれることとなり、減点や誤答となるリスクが高まります。
ボキャブラリーが乏しい子は特に危険ですね。文意がねじ曲がる言葉をチョイスしたらそれまでですから。
入試に合格したいならばまず、「本文の言葉を使う」記述問題で確実に得点することが求められます。
「問題作成者の主観が入った答え」に追い込まれるのは、国語力の高い子ほど苦痛です。
小学生に大学受験の小説の問題を解かせても、解ける生徒は解けるが
大学生に中学受験の小説の問題を解かせても、解けない生徒は解けない
ということが、他教科より起きうるのが国語です。
問題作成者が未熟な場合は、記述問題の解答例も未熟なものとなります。
そこに追い込まれる読解力の高い生徒たちは可哀そうですね。
自分で買った問題集を持って「なぜこれが答えになるの?」と質問してくる生徒がおりますが、生徒に見せられた問題集の解答例を見て、反応に困ることがあります。
出題者のレベルを、中学生が超えてしまっているケースもあるわけです。
活字で答えが印刷されていると、それが正しいと思い込む生徒が多くでます。
しかし、大手出版社の問題集ですら答えが非常に怪しい場合がありますね。
最新の入試傾向をつかむため、全国の公立高校の入試問題を研究しますが、実は入試問題ですら「この答えはグレーでは…」と感じるものもあります。
国語の記述問題は特に、解答例を批判的に読む力も必要ですね。
さて、記事が長くなりましたので、次回に続きます。
よろしければ引き続きお付き合いください。
